2011年06月29日

「Year of the Horse」ニールヤングはいい。

この映画、封切り時に渋谷で観ました。泣ける映画では絶対ないのですが、何故か目頭が熱くなったのを覚えています。

映画評論家の淀川長治氏が、確かアンアンだったかと思いますがこの「Year of the Horse」について素晴らしい文章を寄せていました。この映画についてと言うよりも、ニールヤングについての文章でもあるのですが。




イヤー・オブ・ザ・ホース




引用始め

 僕ね『イヤー・オブ・ザ・ホース』を見て、帰ってから二時間の熟睡できたの。疲れて疲れて、あんな熟睡、初めてですよ。がんがん、がんがん、あんなロックを聴いて、見て。映画に凄く熱があって、その熱に当てられたんですね。
 この映画。ロックの好きな人たちが、好きなだけロックに夢中になって、ロックがフィルムに染まっているような映画。ジャームッシュ監督が、こんなロックを知っていて、好きで好きで好きでということ、僕は初めてよーくわかったよ。
 しかし、この映画、凄い。監督はドキュメンタリーのタッチで、キャメラもできるだけざらっぽく、これ以上はザラザラにはできないような作り方してるのね。だからフィルムの中へロックの連中が入り込んでいる。
 ニール・ヤングという人を僕は知らなかったけれども、ロックの人にしては相当な歳でしょう。僕、最初あれを見たら残酷なような気もしました。あの年になってもまだロックに魂を注ぎ込んでまだやってる・・。身体を上下に揺すって、彼らにしたら人生の生きている呼吸みたいなものだけど、僕にしたら見ていて怖いくらいなの。
 それからだんだん、ちょっと神がかりでいかれている人みたいに思った。お客さんが写って、みんなが手を叩いて、身体を揺すってるのがよくわかる。全員がですよ。やっぱりこういうクレイジーな人がいっぱいいるんだ。そうか、そうか、と思った。つまり、ロックの再勉強しましたね。それほど熱のある映画。
 あの監督、あんなに惚れ込んでるの、驚きました。恋愛より凄いくらい、ロックに、ニール・ヤングの惚れ込んでる。『デッドマン』の音楽やった人なんですね。僕はジム・ジャームッシュの映画、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』からずっと大好きでした。『ミステリー・トレイン』も『ダウン・バイ・ロー』も『ナイト・オン・ザ・プラネット』も、みんな大好き。
 映画のモダンタッチです、この人。それがこの映画にもよく出ているんだね。ロックが好きで好きで、その魂が『ダウン・バイ・ロー』にも他のどの作品にもなっていた。この人のフィルムの中にはその魂が入っている、という、これは僕には新発見だった。
 ニール・ヤングを見てぼくは本当に恥ずかしいと思った。これだけロックに奉仕して、ロックという神様に惚れ込んでいいるのを見てー僕、もう少し頑張らないかんな思った。どれだけお爺ちゃんになっても、こんな風に惚れ込まないといけないのと。僕にしたら、非常にキザな言い方だけどー魂に火がつきました。
 ニール・ヤングは、エルヴィス・プレリーマイケル・ジャクソンとは違う。つまり、他の人に引っ張られて興行師の操り人形になっていない。自分のものになっているのね、ロックの、生活も。そこがこの人たちの良さで、お客さんもそこを喜んで見ている。純粋同士が意気に燃えているところがわかるの。
 それがクレイジーということ。僕にしたら、ワーッ、こういうの好きな人がいるのか。そういうこと、非常に見る価値があると思うの。この監督も、こんなドキュメンタリー的な作り方、おそらく新発見。僕、もっともっと勉強せないかんな、と思った。今になって純粋に。
 クレイジー・ホースの人たち。音楽やっている間は止まらない。止められない。普通の人じゃないよ。その人たちが世間に生かされてるのが偉い。その様子を最初から最後までザラザラな画面で見せているのがいい。途中できれいな画面が出たら酔いが覚めてしまうよ。
 だから僕、酔って眠ったの。スピリットの映画、これだけオリジナルにスピリットを出す映画。僕はとても嬉しかった。

淀川長治・映画『イヤー・オブ・ザ・ホース』評
より

引用ここまで
posted by ゴメス at 09:39| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | ロックンロール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この文章、ずっと探してたんです!
ありがとうございます。
本当にこの映画は最高で、その感動を一番的確に表現してくれたのが、淀川さんでした。
Posted by dm at 2012年10月28日 13:19
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